- 「P2Pネットワーク上に文脈を形成するプロトコルは設計可能か?」
- 大学院の外で初めて自分の研究内容について具体的に触れた。
- 文章の構成や内容は意識的に美術批評的にならないよう心がけた。
美術手帖12月号にて「P2Pネットワーク上に文脈を累積させるプロトコルは設計可能か?」という題で寄稿しました。
本文の大枠は、
- ビットコインの新規性がインセンティブ設計にある旨を指摘する
- その設計を美術の価値創造に活かすことが現状困難である旨を指摘する
- 次善の策として引用グラフを形成を促す自身の研究モデルを紹介する
という構成となっております。
4ページと短めではありますが、文章は査読論文を書く時と同等かそれ以上に推敲と校正を重ねており、試合前のボクサー並にカリカリに仕上がっています。(大学院の外で初めて自分の研究について触れた文章でもあります)
…余談ではありますが、今回の寄稿ではあまりよろしくない美術批評例に対する逆張りをすべく、以下の3点を強く意識しました。
不完全でも良いので対案を示す:
美術業界におけるブロックチェーン活用事例の大半は法人によるデータベース的な利用に留まり、その新規性が活かされているとは言い難い状態です。他方でこのような現状への批判に終始せず「ではどのような設計が考えられるのか」について研究を基に具体的な提案を行っています。
専門用語を極力使用しない:
例えばDAOやProof of Workなどの比較的有名な言葉すら用いていません。重要なトラストレスの概念についても「『知らないどこかの誰か』たちに取引履歴に関する情報を正しく記録させる」と噛み砕いて記しています。
学術論文型の文章構成を採用する:
ポエム化を回避して読者に主義主張を簡潔に伝えることが出来るよう、寄稿文は過剰なまでにアカデミックライティングの手法に則っており、学術論文に近い文章構成としています。
美術とブロックチェーンという自分の2大興味が重なる奇跡的な機会に寄稿が出来たこと、本当に嬉しく思います。是非ご覧ください!