国際カンファレンスiiWAS2018にてBest Paper Awardを受賞しました

  1. 最近の論文がWeb工学の分野でBest Paper Awardを受賞した。
  2. 選択アルゴリズム+ピア予測法 の新たなメカニズムを提案した。
  3. 今後はこの研究をブロックチェーン周りの議論と接続させたい。


201811月に開催されたWeb工学に関する国際カンファレンスiiWAS2018に提出した論文 “Information Diffusion Enhanced by Multi-Task Peer Prediction” がBest Paper Awardを受賞しました。

以下、発表資料及び研究内容の簡単な要約です。

何を提案したか:

GooglePageRankに代表される選択アルゴリズムに関する議論に新たな報酬メカニズムを加えることで、利己的なノードが自分が選択される確率を高めようとネットワーク構造を虚偽申告する行為を防ぐインセンティブ設計を提案した。

どのように実現したか:

選択アルゴリズムとピア予測法に関する2つの先行研究、Babichenko et al.(2018)のTwo-path mechanismとDasgupta and Ghosh(2013)のMulti-task peer prediction mechanism、を合体した。

評価のポイント:
  • 選択アルゴリズムとピア予測法という2つの分野にシナジーを見出した点。
  • 採用したモデルが共にシンプルなため理解が容易な提案に落とし込めた点。
今後の課題:

今回の提案は所与の有向非循環グラフ(DAG)が対象であり、ノード数が増加する(グラフが成長する)ケースはカバーしていない。また、Dasgupta and Ghosh(2013)のモデルはbinary signalが前提であるため、重み付きグラフには対応出来ない。


経済学がバックグラウンドである自分にとってWeb工学のカンファレンスに論文を投稿することは大きな挑戦であったため、Best Paper Awardの受賞は大変光栄であり、今後の自分の研究活動における大きな自信となりました。

本論文では選択アルゴリズムを扱いましたが、過去のブログ記事研究にて指摘してきた通り、ピア予測法は分散型オラクルの議論にも有用だと考えています。そのため、今後の研究ではブロックチェーン周りの議論との接続を試みる予定です。

論文指導を行ってくださった田中・大澤両先生に改めて厚く御礼申し上げます。